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執筆者の写真松下佳介

耐震診断のお話し

久しぶりのブログとなります。


先日、栃木市での耐震診断と補強計画を終えて報告書を提出させていただきました。


弊社では出来る限り、住宅規模くらいの建物なら省エネ計算や構造計算も自社で行おうと決めており日頃から勉強させていただいております。


ですので、住宅規模の木造なら構造計算を当たり前に行うようにしています。

私自身が実家である和歌山県に住んでいる時に阪神淡路大震災を身近に感じ、その経験から何よりも安全性を大切に感じた経験からであります。


今回、ご依頼を受けた建物は1998年竣工でありました。

建物の耐震性でよく耳にするのが”旧耐震基準”と”新耐震基準”という言葉かもしれません。これは建物の壁の長さに対してどの位の耐力壁(地震の時に踏ん張ってくれるのに有効な壁)が必要ですよ。と建築基準法で制定された事によります。(詳しい説明は省略します)

一般的にはこの年代の前後で判断される事が多いのです。


しかし、注目いただくのは1995年の阪神淡路大震災でその基準を満たしているにも関わらず倒壊した建物が多かった為、その耐力壁が建物にバランスよく配置されていないといけない。という事がわかり2000年に建築基準法の大きな改正がなされました。


その事により耐力壁のバランスをみること。さらには土台と柱、土台と基礎、柱と梁に金物を取付けなさいという法律に改正されたのです。


今回の建物はまさに1998年の改正前の建物でした。

幸にも当時の設計者の方がきちんと図面にして残しておいてくれていたので、壁の中に筋交いが入っているかがわかりました。しかし、2000年前なので金物が取りつているかがわかりませんでした。


その事を明確にしたいために、今回は大工さんに壁を一部取壊していただき内部まで調査致しました。(金物が入っていませんでした)


動画は調査をもとに地震時のシュミレーションをしたもの。

次の画像は現状からどの様に補強すれば倒壊を免れる建物に出来るか検討した補強計画の3D画像となります。


実際の工事では補強しづらい場所があったり、造り付の家具があって壊せない壁があったりしますので、調査をしっかりとして現状に合わせた補強計画が必要になります。

また、補強したからといって絶対という事はありませんが、過去の実例からも(実際に能登の地震でも耐震補強した家屋が無傷だった例も確認されています)明らかに強い家となる訳です。


壁紙を変える事やキッチンを新しくするのと違い、目に見えないものですので軽視しがちですが人命に関わる大切な事ですので、ご自宅の耐震が気になる方は一度ご検討されてもよいかもしれません。


図面が残っている、残っていない、規模の大小で診断費用は変わってきますが、おおよそ10万円から20万円というところです。

(市町村の補助金制度もありますが、何かと使いづらい制度ですので、構造の知識のある事務所に依頼されるのが一番です)


尚、来年度(2025年)から大きな建築基準法改正がありある程度の規模以上の建物の構造計算が義務化されます。これで安全な建物が増える事を願います。




#耐震診断

#補強計画

#建築基準法改正

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