これは以前、プレゼンテーションをさせていただいた住まいのプランになります。
今回は住まいのプランについて、この住宅を通して少し書こうと思います。
私自身、大学で建築を学んでいた頃、地方の民家にとても興味を持ち、それは今でも続いています。
その理由を考えた時、SNSなど無かった時代ですので、それは雑誌においてなのですが、誌面に載るような派手な建築に疑問を覚えたことに始まった気がします。
今和次郎先生の『日本の民家』を手に取り夢中になって読みました。
そこには各地方の古民家(民家という言葉を考えたのも和次郎先生です)を調査して、スケッチにて間取りや外観が描かれたものが載っていました。
日本海岸では漁のための舟を収納する部屋が隣接された民家、山間部では離れと母屋の関係。田畑を耕す農家には馬床といって家の中(特に玄関横のスペース)に馬の部屋があったりと風土、気候によって間取りが様々なのです。
建築はこの様に自然。そのものに寄り添ったカタチであるべきだと私は信じています。
最近はSNSなどで間取りや収納などについて様々な断片的な情報にあふれています。私もクライアントに”この様な雰囲気で”と見せていただく事も増えました。
それも重要かも知れませんが、もっと重要なのはそこからどの様に外部と繋がるか、人が安心できる空間となりうるか。窓からちょっとした緑が見えるだけで人は一日を心地よく思える瞬間があると思います。
その様な事が大切なのではないでしょうか。
こちらは山形の住宅で、日頃。お忙しく仕事をされているご夫婦の為の住宅です。
雪国の冬は長く、私も飛騨地方の暮らしで経験しましたが一年のうち半分がそのような季節といった感覚です。
ですので家の中にいる時も庭とのつながり、光の温かさを感じられるような事を大切に設計しました。中央にリビングダイニングを持ってきていますが吹抜け空間となっており入サイドライトにより光の形が内部で変化していくさまが見てとれるのです。
南にはまた違った雰囲気のリビングが設けられ暖炉を囲んで談笑できる温かなスペースとしています。十字型に二層となっており、それ以外の浴室や車庫は平屋になります。
浴室はトップライトにより光溢れる空間で夜は星空が望めます。
2階の寝室や子供室などからと1階ダイニングは上下でつながっており家族が離れて過ごしていても気配は感じられるようになっています。
北側の諸室は道を挟んで向かい側の街路樹の景色を借りて(借景)秋には紅葉が楽しめるようになっています。
この様にその場所の風土や空気感を大切に日々のちょっとした喜びが感じられるようにと設計に向き合っています。
他の建築家の方が設計された住宅などもそれぞれの考えや工夫が詰まっており、観に行ける機会があると灌漑深い想いでみています。
具体的な間取りについてもまた触れてみたいと思います。
#住宅設計
#住まいの居心地
#家づくり
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